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2009年10月7日水曜日

次期ITインフラストラクチャー

 我が社のITインフラとなっているシンクライアントシステムのサーバー群は、来年から段階的に更新時期を迎えます。これはメーカー保守の期間が切れるということを契機としているので、保守延長により数年は更新を先送りすることができます。更新するか、保守延長で先送りにするか、これを意思決定するためにも更新後の姿を描く必要があります。今回は、現時点で私が描く次期ITインフラのイメージを紹介します。

 シンクライアントシステムの中枢となるサーバーは、Citrix Presentation Serverをインストールした3台のPRIMERGY RX200です。1機4GBのメモリを搭載し、約100人のユーザーを3台で負荷分散しながらさばいていますので、1機あたり33人程のユーザーで共有していることになります。これは、ヘビーユーザー(Wordにサイズの大きい画像を貼るなど)が出現すると、パフォーマンスの低下を体感できてしまう共有度合いであり、パフォーマンスとしては物足りない状況にあります。
 ここでまず考えられるのはスケールアウト。サーバーを1機増設し、4機で負荷分散すれば1機あたり25人、過去の経験則からいってパフォーマンスは十分なレベルとなるはずです。しかし、サーバーが更新時期を迎えようとしている今、このような選択はあまり面白くありません。

 次はサーバー仮想化を考えてみます。例えば、16コア、メモリ32GBのサーバーを2機用意し(その他の諸条件は取り敢えず無視して)、そこに4コア、8GBのVMを3機づつ配置するというのはどうでしょう? 計6機のCitrix Presentation Serverで100人のユーザーをさばくことになるわけですから、1機あたり17人弱、メモリは現行サーバーの2倍ですから、余裕を持ってユーザーをさばけると思われます。また、コスト的にもリアルサーバー構成より有利なはずです。もちろん、ここで取り上げたCPUとメモリ以外の諸条件によりパフォーマンスとコストは異なりますので、この例はあくまでも検討の対象とする1シナリオということになります。

 さて、スケールアウトとサーバー仮想化、どちらが魅力的でしょうか? 私はサーバー仮想化をベースに次期ITインフラを描いていきたいと考えています。そしてそれは、地球温暖化対策というテーマとも整合するものです。

 仮想化のシナリオの中で、諸条件によりパフォーマンスは異なると書きましたが、恐らく最も大きなボトルネックとなるのは、ファイルIOであるとこれまでの仮想化実験の経験から考えています。となると、高速かつ負荷分散されたファイルIOを実現する必要がありますので、SANやNAS、iSCSIといった仕組みを検討する必要が出てきます。そして、このようなストレージを組み入れることは、例えばVMWareのVMotion等により、可用性を高めることなどに通じます。

 ここまで考えると、Citrix Presentation Serverを使い続けることに疑問を感じてきます。いずれはサポートが切れてしまう旧世代ソフトを使い続けるよりは、新機能を備えた後継ソフトへ乗り換えたくなるのです。そこでXenAppやXenDesktopはどうでしょう? 基礎はアプリケーション仮想化で築き、アプリケーション仮想化に馴染まないものはデスクトップ仮想化で対応する。これはかなりの柔軟性を持ったインフラを築けます。現在も、特定のソフトはWindows XPのVMなどによって運用しています。なにしろ、エンタープライズ コンピューティングとは、基幹のシステムから付箋紙ソフトまで、さまざまなソフトを必要とします。業務の変化に柔軟に対応するインフラを構築するために、デスクトップとアプリケーションの仮想化技術はなくてはならないものと私は考えます。

 昨今、BCPの重要性が指摘される中で、私は昨年から本格的にBCPに取り組んでいます。また、ワークライフ バランスというような考え方も徐々に拡がりを見せています。このような状況の中で、テレワークに対応できるインフラというのも考えたくなります。自宅のPCやモバイル、携帯端末などから会社とほぼ同じコンピューティング環境が使えたならば、BCPとワークライフバランスの一部に対応できるものとなります。

 来年以降誕生するかも知れない次期ITインフラ、私はこのようなイメージで検討を進めています。

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