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2009年10月9日金曜日

クラウド コンピューティング

 これまでにも何度か触れてきたように、私は業務をストック系とフロー系に分類し、それぞれに異なるIT化のアプローチをとっています。それは、ストック系には既存資産を活用し、低コストでソリューションを実現し、フロー系には手組みなどにより、業務との整合性の高いソリューションを実現しようとするものです。
 この考え方は、次期基幹システムにも当然反映されています。このシステムは、実は基本システムと拡張システムに分かれていて、基本システムはメインフレームのマイグレーションを基礎とする手組みのフロー系システムであり、拡張システムは、基本システムが蓄えたデータを有効活用するために、SQL ServerのReporting ServiceやExcelを活用するストック系のシステムとなります。
 このような「ストック&フローアプローチ」をとるのは、ソリューションの実現コストを抑えつつ、業務の独自性を尊重し、一定レベルの柔軟性をソリューションに与えるためです。
 「業務の独自性を尊重」という考えに対しては、「それは可能な限り排除すべき」とする考えとのトレードオフを吟味する必要がありますが、ここで特に注意しなければならないことは、いわゆるベストプラクティスが必ずしもベストプラクティスではないということです。一見、他人から見てムダに思えることでも、実は長い歴史の中で磨かれ、多様性を吸収するなど、その当人たちにとっては有効なプロセスであったりすることがあるからです。

 ストック系の業務では既存資産を活用していくわけですが、昨今のITの潮流を考えると、クラウドというものも当然含まれてきます。そしてそれは、少なくとも我が社の主流となる資源に今後なるだろうと考え始めています。
 このような大きな期待は業界全体に拡がりをみせていますが、一方で、すべてがクラウドになるわけではない、との意見があります。私もそのように考えます。ひとつは、ストック&フローアプローチの考え方があるでしょうし、もうひとつはITガバナンスの問題です。
 私は先日、salesforce.comのデモを見せてもらいましたが、その感想として、ストック系の業務はかなりの確率でこのサービスにフィットするのでは? という仮説を持っています。もしそうであるならば、我が社のITに対する投資効果は劇的に変化するはずです。大変興味深い話であり、ITの実務責任者として早急に検証しなければならない仮説です。
 我が社の従業員数は120名程ですので、仮に全員が1人あたり月15,000円のサービスを利用したとしても年2,160万円です。このコストでストック系業務の大部分となるITコストをまかなえるとしたら、初期コストが別にかかるとしても驚異的なROIを実現できます。なるほど、クラウドが注目されるわけです。
 一方で、ITガバナンスの面においては懸念される要素があります。例えば、クラウド事業者の有するデータセンターは、セキュリティの関係上、所在地などが明かされていないことがほとんどです。場合によっては、事前の見学などもできないかも知れません。となると、口頭や文面で説明を受けただけのデータセンターに情報という重要資産を預けることになるわけで、まるでデータセンターが仮想化されてしまったかのような話です。もちろん、契約によりこのような懸念は整理されるのですが、ITガバナンスの実行力が低下することは間違いない事実です。

 クラウドにはこのような懸念事項もありますが、現段階の考えとして、ある程度のリスク等を容認してでも、余りある投資効果を得られるのではないかと思っています。さて、実際のところはどうなのか? 数週間の内に方向性を検証しなくてはなりません…
 今週末も仕事かなぁ…

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