当時の問題点は、ITに関する企画が広く社内で議論されることがなく、そのほとんどを私が企画し、上層部が承認したものをトップダウンで実行に移していたことでした。もちろん、私は経営、事業、業務のそれぞれの目的を考慮しながら、必要な施策を企画してきたわけですが、私はもっと広い議論が社内であってよいと思っていました。
また、何分一人なので、次から次へと舞い込む課題の処理に追われ、マネジメントに関する不備(ドキュメントの未整備など)が点在している状況でした。
このような状況の中、私はITガバナンスの確立に挑戦したのですが、最初はどこから手をつけていいのか迷いました。そこで、困った時はマネをしようと、お手本になるものを探し、COBITを見つけました。
まず私は、COBITが定義するITガバナンスに必要な34のプロセスの熟成度について自己評価を行いました。
上の図は、その時のExcelシートを縮小したものです(縦がプロセス、横が熟成度)。このシートによって、熟成度の分布から我が社の傾向を知ることができました。
- 計画と組織 : 私一人に依存したプロセスが大半を占め、日常的に広い議論が行われていない。
- 調達と導入 : 技術的要素が中心のプロセスであり、私のスキルやマンパワーに依存している。
- サービス提供とサポートおよびモニタリングと評価 : 私一人であるため、システム導入後のプロセスが十分でない。しかし、アウトソーシングしている分野の熟成度は高め。
- 計画と組織 : 幅広い議論を行うための会議体の設置。
- 調達と導入 : 開発標準等の整備。
- サービス提供とサポートおよびモニタリングと評価 : 派遣社員を一人雇い、私と二人で業務を担当し、特に弱かったドキュメントの整備を下図ドキュメント体系に則り進めていくことにしました。
上の図は、COBITが定義する34のプロセスに対して、成果物となるドキュメントとその関連性、作成、承認などの責任分担を定めたものです。これにより、ドキュメントの有無、その品質、更新頻度などにより、熟成度を把握できるようにしたのです。これを私は、ITCF(IT Control Framework)と呼んでいます。
まだまだ、やるべきことはたくさんありますが、ITCFのおかげで我が社の立ち位置がいつでも把握できる点は、大きな前進だと思っています。
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