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2012年9月29日土曜日

小説『エクストリームセンス』 No.8

小説『エクストリーム センス』は笹沼透(Satohru)の著作物であり、著作権法によって保護されています。無断で本小説の全部または一部を転載等利用した場合には、民事罰や刑事罰に問われる可能性があります。

 

第2章


 北アフリカの西部、北太平洋側に位置する小国カルダーラ共和国は、ほとんど資源を持たない国であったが、唯一、カタ湖といわれる湖の豊富な水量により、その地の民は生かされていた。しかし、あらゆる用途の水をカタ湖に求めたことと地球温暖化の影響を受けた結果、西暦2000年を過ぎたころから急激に水量が減少し、命の水の枯渇は時間の問題とされていた。カルダーラ政権はカタ湖のくみ上げ規制を実施したが、この政策は失敗し、農業用水の不足から深刻な食糧不足へと問題を拡大させてしまった。このため、カルダーラの国民は幾つかのグループに分かれて対立し、やがて国土の北東部に展開していた陸軍が反政府ゲリラの支援に回ると、渇きと飢えをめぐる争いは激しい内戦へと拡大していった。さらに、イスラム原理主義者のグループがカルダーラ政府要人の暗殺を開始すると、政権は瞬く間に崩壊し無政府状態に陥った。
 これに対しアメリカ政府は、人道支援と民主主義の回復を理由に武力介入し、旧政権を中心とした暫定政府を発足させた。その後、国連平和維持軍が派遣されたことで内戦は鎮静化に向かって進み出し、日本政府は根本的な問題を解決するために、ODAによる海水淡水化プラントの建設を決定した。
 このプラントの建設と運営を受注した相模重工は、カルダーラの海岸に世界最大規模となる20基もの淡水化プラント群を建設した。プラントで生成された水はカルダーラを潤し、水と食糧の問題をかなり解消することに成功した。また、この水はカルダーラの周辺諸国にも輸出され、カルダーラは世界で最初に国家レベルで水ビジネスに成功した国となった。しかし、国民の審判を得ていないカルダーラ暫定政権は腐敗が進み、水の恵みは恣意的にコントロールされるようになっていった。当然のことながら、暫定政権の打倒を目指すグループの活動は活発化し、元カルダーラ正規軍のヘルバン・サイード大佐が率いる元陸軍を中心とした反抗グループは、カタ派と名乗り祖国を取り戻すための戦いを繰り広げた。
 カタ派のカタはカタ湖に由来する。彼らの主張は、カタ湖の恵みを分かち合いながら平和に暮らしていた昔のように、プラントの水と利益を国民に平等に分配しようというものだった。主張は極めて正当であり、よって国民の支持を広く得たカタ派だったが、強過ぎる正義感は過激なゲリラ活動となって行使され、国内情勢は再び混乱へと進んでいった。
 カルダーラ北東部のフルムという街は、カタ派の重要拠点となっていた。アルジェリアと国境を接するこの地域は、アルジェリア経由でロシアと中国からの支援を受けるカタ派の生命線である。そのフルムから西に15キロほど離れた暗闇と砂に囲まれた渓谷で、男たちは息を潜めて獲物が来るのを待っていた。時刻は7月5日月曜日の1時(日本時間同日10時)。その獲物とは、アメリカ軍がフルムの西にあるベースキャンプに配備するために輸送している誘導ミサイルだった。
 数日前、サイード大佐のもとにカルル・アリヴィアーノヴィチ・バビチェフと名乗るロシア人の男がやって来た。この男は、カタ派を支援するロシアの諜報(ちょうほう)機関――ロシア対外情報庁のエージェントから紹介された男で、流暢(りゅうちょう)なアラビア語で次のような取引を持ち掛けてきた。
 「アメリカ軍は高機動誘導ミサイル、HMG-2を3機、西のベースキャンプに配備し、大佐を暗殺しようとしています。私はそのミサイルの輸送ルートに関する詳細な情報を持っています。そこで、大佐にお願いがあるのですが、そのミサイルを奪っていただきたいのです。そして、私にそれを譲ってほしいのです。もちろん、報酬はお支払いします」
 カルルは更に「報酬は全額前払いします」と言って札束をサイード大佐の前に山積みにした。そして、C-17輸送機から搬出されるHMG-2の衛星写真と、搬送ルートを記した地図を見せながら、HMG-2は2台のハンヴィー(高機動多用途装輪車両)とたった6人の兵士によって、待ち伏せに格好な渓谷を通って搬送されると説明した。
 「話が出来過ぎている」
 サイード大佐がそう言うと、男はにやりと笑ってこう言った。
 「その通りです。半分はこちらが用意したシナリオですから…… つまり、私はどうしてもHMG-2が欲しいのです」
 「どうしてロシア人のあんたがアメリカの情報を持っている」
 「私はロシア人であると同時にオルグのメンバーです。オルグは国際的なネットワークを持ち、秘密裏に様々な活動を行っています。もちろん、オルグにはアメリカ人もたくさんいます。これでは答えになりませんか?」
 サイード大佐はオルグという秘密結社のうわさを聞いたことがあった。退行主義を実現するために、世の中の裏舞台で暗躍する集団と聞いている。
 オルグかぁ…… そんなやつらならこのくらいのことは平気でできるのかもな。それに……
 目の前に積まれた金はサイード大佐にとって魅力的なものだった。これだけあれば、診療所の設備や医薬品、発電機などを買い増しすることができるし、子供たちに本や鉛筆を買ってやることができる。サイード大佐は条件を出した。
 「ミサイルを無事に持って帰ってくるまで、あんたを拘束する。それで良ければ引き受けよう」
 ロシア人は笑顔で答えた。
 「どうぞご自由に。どのみち私はミサイルを受け取りに来なければなりませんから……」
 こうして、サイード大佐自らが率いる14名のカタ派ゲリラたちは、渓谷を走る道路を上から攻撃できる斜面の両側に、息を潜めてハンヴィーがやって来るのを待つことになった。そして……
 暗闇の中を車の音とヘッドライトの光が近づいてきた。サイード大佐は暗視スコープで予定通り2台のハンヴィーが近づいてくることを確認し、作戦開始を無線で指示した。ハンヴィーが襲撃ポイントに近づくと、ゲリラの一人が道路の中央に向かって対戦車ミサイルを撃ち込んだ。すさまじい爆音と舞い上がる砂ぼこりで先頭のハンヴィーが急停車すると、後続のハンヴィーは前の車両に追突した。敵だっ! という認識を持つ時間はあっただろう。しかし、その後アメリカ兵たちは考える時間も、反撃する時間も与えられずにゲリラたちの放つAKS-47の銃弾で体を裂かれながら死んでいった。
 「打ち方止めっ!」
 サイード大佐は無線でそう命じると、暗視スコープで蜂の巣になったハンヴィーを確認したが、そこにはもう敵の姿はなかった。サイード大佐は「よし、行け!」と命じ、自らも斜面を駆け下りハンヴィーに近づいた。部下が二人がかりで長さ1.8メートル、重さ60キロのケースを一つ、ハンヴィー後部の荷台から下ろし、それを開けるとU.S. ARMY HMG-2と刻まれたミサイルがフラッシュライトの明かりに浮かび上がった。
 約30分が過ぎたころ、通信の途絶えたハンヴィーの捜索にアメリカ陸軍のアパッチ攻撃ヘリが1機現場にやって来た。仲間の仇(かたき)を討つべくアパッチは電子装備を使ってしばらく周辺を索敵したが、ラクダとラクダの引く荷車で移動しているサイード大佐たちを見つけることはできなかった。
 サイード大佐はラクダに揺られながらつぶやいた。
 「拍子抜けするくらい、楽な仕事だった。しかし、これを何に使うんだ……」

 

 7月12日、月曜日。岡林敦はいつものように起床し、電車に乗ってみなとみらい線の日本大通り駅を降りると、相模重工本社までの道中にあるコンビニでおにぎりと野菜ジュースを買い、自分のデスクでインターネットのニュースを読みながら朝食をとるという朝の恒例行事を済ませた。そして始業時間になると、ASMOS運用管理センターに出向き、システムの状態についてオペレーターと確認し合うことがもう一つの日課だった。
 ASMOS運用管理センターには、ASMOSコアと呼ばれるコンピュータ・システムが設置されていた。これにはEYE’sが収集した人美のデータから旧世代制御システムであるSMOS(ソモス)の学習データ、市場投入されたASMOSや実験中のSOP-X1まで、あらゆるASMOS系システムから集められた学習データのすべてが蓄積され、各種のローカル・システムでは処理しきれない学習データの再生成が強力なEFC(Experience Feedback Control:経験帰還制御)エンジンによって24時間365日行われていた。
 例えば、EYE’sを例にもう少し説明すると、人美の脳波はスマートフォンに送られ、そこで学習データと比較することで人美の状態――サイパワーを使っているのか否か、それはどのように使われているのか――を認識し、制御波をバイオフィードバックしている。この時用いる学習パターンの生成は、非力なハードウェアであるスマートフォン――それは搭載するCPUやメモリ容量、消費電力の問題などで、スマートフォンの容積では搭載できる性能に限界がある――では実行することができない。そこで、EYE’sは一定容量に達した脳波データをASMOSコアに送信し、ASMOSコアは既に蓄積されている学習データを参照しながら新たな学習データを再生成することでデータの洗練化を行い、これをスマートフォンが再受信することで学習データを更新している。制御対象によって処理フローの違いはあるが、基本的な流れはすべてのASMOS系システムで同じであり、ASMOSコアは、その名の通りASMOSを機能させるための核であり、同時にあらゆる制御対象の学習パターンが蓄積されたASMOSデータストアを併せ持っている。
 岡林はASMOSコアが正常に動作していることを15分ほどで確認すると、今度は沢木がエクストリームセンスと名付けた新システムの開発に没頭し、時刻が終業を告げると家路についた。定時退社、この当たり前に思える行動も、岡林にしてみれば久しぶりに迎えた通常の就業モードである。開発が佳境を迎えれば、会社に泊まることも日常茶飯事であり、数か月会社で生活していたことさえあった。もちろん、相模重工の就業規則、労使協定、沢木の指導はそのような岡林の行動を支持するものではなかったが、彼の開発者としての情熱がそうさせていたのだ。
 岡林が相模重工本社の1階にあるセキュリティゲートを抜けロビーを歩いていると、自分の名を呼ぶ声に脚を止められた。声の方に首を向け、白いスーツ姿の髪の長い女を認めた岡林は、いつものように素直な感想を心に浮かべた。
 うわ! かわいい……
 その女は「岡林敦さんですね。私、インダストリアル・ニュースの杉本美花(すぎもと みか)といいます」と言いながら名刺を出した。インダストリアル・ニュースはインターネット配信専門の産業ニュース・メディアであり、大手の経済新聞社が運営しているサイトの一つだった。岡林は業界でも知名度のあるニュース・メディアの記者と杉本を認めると、改めて彼女の顔に目をやった。幼さの残る顔立ち、少し厚めの下唇、薄茶色の流れるような長い髪、スーツに窮屈そうに収まった胸、そのどれもが岡林の好む範囲に収まっていた。
 「そうだけど、僕に何か?」
 答える岡林に杉本が言った。
 「ASMOSに関する記事を企画中なのですが、そこではASMOSの開発に携わった技術者の声をお聞きしたいのです。岡林さんは沢木さんの片腕として、ASMOSのソースコードの多くを書いていると聞いていますので、是非、取材させていただきたいのです」
 悪い話ではなかった。岡林は沢木聡にこそ認められてはいるものの、そのあまりにも大きな沢木の存在のために、岡林にスポットライトが当たることは社内外を通じて少なかった。しかし、ASMOS開発をはじめとする相模重工への貢献度に一定の自負を持つ彼にしてみれば、もう少し日の目が当たってくれてもいいのではないか、というささやかな野心があった。そして、今回の取材の話は彼のささやかな野心を十分に満足させるものだった。要は目立てばいい。彼の野心とはそのような類のものだった。それに加えて取材となれば、幾ばくかの時間をこの自分好みの女性と過ごすことになるのだろう、という期待からも、杉本の申し出を断る理由は見当たらなかった。しかし……
 「個人的には断る理由はないけれど、うちの会社は結構細かい取材規程があるんですよ。僕の判断だけでは取材に応じられるかお答えできないですね。すみませんが、広報を通してください」
 杉本は答えた。
 「もちろん、必要な手続きはきちんと行います。今日は、岡林さんへのごあいさつ、というより、個人的な興味もあってお目にかかりたいと思ってお待ちしていたのです」
 岡林は魅力的なフレーズに反応した。
 「個人的な興味というと?」
 「エクスフィールで書かれたソースは数百万行になる規模と聞いていますが、そのような規模の画期的なソフトのプログラム構造設計と実装、テストケースを主導しているのが岡林さんであれば、その能力は天才を支えるもう一人の天才なのでは? という考えからいつか取材したいと思っていたのです」
 岡林は照れながら言った。
 「いやぁー、天才なんて程のものではありませんけど、確かにプログラム・レベルの設計からコーディングまでがチームでの僕の基本的な役割です。最近は製品実装のためのインテグレーションも多くなってきましたけど」
 杉本は岡林に一歩近づくと、にっこりと笑いながら明るい声で尋ねた。
 「岡林さん、よろしければ食事でもいかがでしょう? 正式な取材願は明日にでも手続きしますが、今日伺える範囲でお話できたらと。ASMOSというと沢木さんのEFC論理や思考検出デバイスにスポットライトが当たりがちですが、私は大規模ソフトウェア開発プロジェクトを成功裏に導いている岡林さんの功績を世の中に伝えたいのです。もちろん、岡林さんや相模重工の許可なく記事にしたりはしません。お約束します。いかがでしょう?」
 悪い話ではなかった。このまま帰れば誰もいないマンションの一室で、オンラインゲームをしながらビールとカップラーメンの夕食。そんな私生活が寂しいわけではなかったが、刺激がないのは間違いない。杉本美花、このかわいらしい記者と食事をしながら自分の強みについて語るというのは、岡林のみならず、多くの男にとって魅力的なことかもしれない。
 「いいですよ。じゃあ、せっかくだから、おいしいものを食べましょうか」
 岡林が笑顔で答えると、杉本は「はい」と元気よく明るい声音を発した。
 この後、二人は中華街で食事をしながら談笑し、多少のアルコールを口にした岡林は上機嫌で開発者としての武勇伝を語った。途中、上着を杉本が脱ぐと、白いブラウスに透けた黒い下着の陰が岡林の目にとまった。そして視線を彼女の顔に移すと、満面の笑みで自分を見つめている。29歳独身、彼女いない歴数年。そんな岡林が杉本に興味を持たないはずはなかった。しかし、今日はここまで。駅前で杉本と別れた岡林は、今日見た彼女の姿を思い浮かべながら幸せな気分で家路についた。
 この翌日、相模重工の広報・IR課に岡林への取材願が提出され、その目的、方法が明らかにされると、経営企画部長、経営本部長、沢木と承認フローが回り、その日の夕方にはインダストリアル・ニュースへの取材許可が下りた。広報・IR課と杉本からのメールを確認した岡林は、鼻歌を歌いながらコーヒーを取りに席を立った。

 

 男と女は獣のように激しく愛し合っていた。互いの体は汗で光り、男の額を流れる汗は女の揺れる胸にポタポタと垂れ続けた。男の鍛えられた筋肉は極度に緊張し、女の弾力のある体はつま先だけが緊張していた。男の名はイム・チョル、元北朝鮮人民軍の兵士で37歳。女はユン・ヨンといい27歳だった。
 この日、イムは久しぶりに大きな仕事を得て、その前金として2,000万アジアもの大金を手に入れた。正確にいえば、仲間を雇わなければならないのですべてを自分のものにできるわけではないが、成功すれば更に3,000万アジア。手元には少なくとも2,000万アジアは残るとイムは考えていた。大金の入った紙袋を小わきに抱え、イムは走ってユンの待つアパートに帰ってきた。そしてユンの前に紙袋に入った札束をばらまくと、「仕事だ、ヨン。いい仕事が舞い込んできた」と言ってユンを抱きしめた。貧しさからだろうか、最近は愛し合う回数が減っていた彼らだったが、大金が入ったことによる心の緩みは彼らを燃え上がらせた。そして、もうこれ以上は無理だというところまで汗をかくと、二人はシャワーを浴び、高級料理店で食事をし、酒を飲んだ。
 上機嫌のイムは大きな声で尋ねた。
 「ヨン、楽しいか?!」
 ユンは「うん」とうなずいてイムに抱きついた。その姿をいとおしく思いながら、イムは心の中でつぶやいた。
 この仕事が終わったら、結婚しようなヨン……
 コリアン民国の首都、ソウル特別市東大門区(トンデムン=グ)にある清凉里駅(チョンニャンニ=ヨク)は、正確には鉄道公社とソウルメトロの二つの駅がある。その清凉里駅から歩いて数分の清凉里青果物市場近くの古びたアパートに、イムとユンは二人で暮らしていた。
 二人は北朝鮮北部の咸鏡北道(ハムギョンプク=ト)清津市(チョンジン=シ)で出会った。そこは朝鮮人民軍陸軍第9軍団の駐屯地であり、イムは軍人として、ユンは軍団司令官の世話係としてそこにいた。
 当時の駐屯地はひどい状況だった。ろくに食べ物もなく、厳しい訓練だけは毎日続き、多くの下級兵士が戦闘ではなく飢餓で死んでいった。当然兵士の士気は落ち、上官に反抗する者も出てくるが、そのような兵士は上官にリンチされて死んでいった。イムの仲間の中には、いっそ死んでしまった方が楽だ、どうせなら仲間を殺した上官を道連れに死んでやる、といって自ら死を選ぶ者もいたが、当時26歳のイムは、いつかはこんな状況も変わるはずだと信じて歯を食いしばって生き続けた。
 そんな厳しい駐屯地での毎日であったが、時折見かける少女にイムは好意を持っていた。もっとも、駐屯地で唯一の女性がその少女であるのだから、すべての男が少女に何らかの関心を持っていただろう。その少女がユンであり、当時16歳だった。イムの目に映るユンは、表情がなくいつもうつろな目をしていた。笑ったらどんなにかわいいだろう? イムはユンの笑顔をいつか見てみたいと願っていた。
 現在のイムは、日雇いの肉体労働で生計を立てていたが、北朝鮮の崩壊から朝鮮半島統一、OEC(オリエント経済共同体)設立などの混乱期には、金のためなら何でもやって生き抜いてきた。特に、旧北朝鮮の復活を夢見る元軍人たちを”狩る”仕事では、警察やコリアン軍、OUF(オリエント連合軍)、CIAなどに情報を売って小遣いを稼いでいた。しかし、そのような仕事がいつまでもできるわけがない。身の危険を感じたイムはユンと仲間のキム・ウォンの三人でソウルに移ってきたのだ。その彼の前に、昔世話になったCIAのエージェントが突然現れ仕事を頼まれた。その内容は驚くべきものだったが、マフィアとなった軍人たちの報復を恐れることなくユンと幸せに暮らすことを夢見るイムは、一世一代の賭を決意した。そして、大金を手にしたのだ。

 

続く……

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