【案内】小説『エクストリームセンス』について

 小説『エクストリームセンス』は、本ブログを含めていくつか掲載していますが、PC、スマフォ、携帯のいずれでも読みやすいのは、「小説家になろう」サイトだと思います。縦書きのPDFをダウンロードすることもできます。

 小説『エクストリームセンス』のURLは、 http://ncode.syosetu.com/n7174bj/

2009年10月30日金曜日

小説『エクスプロラトリー ビヘイビア』(2)

 沢木はやっとエアコンのスイッチを入れた。
 この土曜日は、読みかけの本を片付けたり、じっくりとピアノを弾いたりして、久し振りの休日らしい休日をのんびり過ごそうと思っていた。しかし、昨夜の白石会長の話しを聞いて以来、頭の中は見山人美のことで一杯だった。
 エアコンから吹き出される涼しい風は、彼の頭を冷やし汗を乾かした。その風を頭に受けながら、再び考えを巡らした。
 超能力とは存在するのだろうか? いやいや、超能力とは限らない。それ以外の超自然的な力―心霊現象なのかも知れない。それとも、奇妙な偶然の一致?
 沢木は窓を閉めるために歩きだした。
 ある意味では俺も超能力を信じる。でもそれは、いわゆる超能力というものとは少し違う。スプーンを曲げたり、ものを体にくっつけたり、そんなくだらないものが超能力だなんて思えない。俺の考える超能力とは、人間の奥深くにある精神的な作用―例えば、何かを愛する気持ちや信じる気持ち、そういう心が、精神が、自分や他人に影響を及ぼした時に現れるようなもの―そう、そんな精神作用により、病気が回復に向かったりするようなことだ。しかし、案外超能力なんてくだらないものなのかも知れない
 窓の前まで来ると、セミの声は一層けたたましく頭に響いた。
「うるさいセミだなぁ」
 沢木は窓をぴしゃりと閉め、ガラス越しに見える海を見つめながら思考を続けた。
 昔から言われる言葉の中には結構不思議なものがある。袖触り合うも多生の縁―これは仏教思想からきている言葉だが、つまりは輪廻転生のことだ。同じく仏教にまつわる以心伝心は、現代風にいえばテレパシーだろう。虫の知らせや正夢は、一種の予知能力―こんな言葉が何の根拠もなしに生まれ、使われてきたとは思えない。超自然的現象といわないまでも、何かそれに近いことがあるからこそ、そう人々に感じさせる何かがあるからこそ、こうした言葉が生まれたに違いない…
 沢木は愛好のセブンスターを取り出し、それに火をつけた。
 きっと何かあるんじゃないだろうか。それとも人類の想像の産物なのだろうか。数々の事象の出来事から巧みに物事を関連づけて想像する。そんな人間の想像力のせいなんだろうか…
 さらに沢木は、少女の能力を確かめるためにはどうすればよいのか、それが確かめられたとして、どう対処するのか。また、それらを一切少女に悟られることなく進めるにはどうすればよいのか、そんなことを考え頭を痛めた。しかし、久し振りに刺激的なテーマに出会ったことに、ある種の興奮を抱いているのも事実だった。
「とにかく真実を」
 沢木はそうつぶやくと、心の中で続けた。
 超能力云々を信じる信じないの前に、まずは事実関係を明らかにしていかなくては。まずはそれからだ…

 夏休みに入った見山人美は、毎日のように友達と近くの海に遊びに行っていた。もうじき両親はアメリカに行ってしまい、自分はしばらくの間一人で、父親の友人の家に居候しなければならないことなど、少しも気にしていなかった。
 人美の家は神奈川県の横須賀、居候先は葉山だから、高校へはちょっと遠くなる程度で通えるし、当然、友達とも今までどおり会うことができる。白石のおじさんはちょっと怖そうに思えたが、それでも全く知らない人ではないし、奥さんは対照的にとても優しそうな人だという印象がある。卒業してからアメリカに行ってしまい、友達と別れるのは少しさびしいが、アメリカでの生活への期待は、そんなさびしさを吹き飛ばすに十分だった。 人美がこの夏夢中になっているのは、岩場付近を素潜りすることである。海中の光景はとても美しく、小さな魚たちはとても愛らしく、時折出くわすクラゲの隊列は愛敬たっぷりだった。中でも彼女が特に気に入っているのは、海中から見た海面の光景である。それは上から見るのとは全く違う光景で、差し込む日の明かりがゆらゆらと揺らめき、吸い込まれてしまうような、何かとても気持ちを落ち着かせてくれるものだった。人美は水中眼鏡越しに、その光景を息が続くまで見続けていた。
 日も落ちてきて、友達がもう帰ろうと言った。人美を含めた二人の少女は、夕暮れの中を家路についた。
 日中は大勢の人でにぎわう海岸も、夕日に照らされるこの時間になるとその数は一気に減ってしまう。このため、浜辺からバス通りに出るまでの細い道には、人美たち以外の人の姿はなかった。
 ちょうど公園の前に来た時に、人美たちの前に突然二人の若い男が現れた。彼らは人美たちをにらんでいる。よく見ると、先ほど自分たちに声をかけてきた二人だった。人美はひるむことなく前進し、友達は人美の後を恐る恐る着いて行った。男たちも彼女たちのほうへ直進して来た。一メートルほどまでに両者が接近した時に、人美は男の一人と目と目が合った。その目は悪意に満ちた冷たい目だった。彼女の直感はこの場を早急に離れなければならないことを告げていた。人美は後ろの友達のほうを振り返り声をかけた。
「急ごう!」
 そう言いながら見た友達の目は、既に恐怖の瞬間を捕らえていた。男の腕が人美の首に巻きつき、もう片方の手が口を押さえた。友達も男に捕まり、二人は草むらのほうに強引に連れ込まれ、人美は男に押し倒された。その時、口を押さえていた手が外れた。人美は渾身の力を振り絞って叫んだ。
 運がよかった。ちょうど海の家から引き上げて来た、三人の中年男がその悲鳴を聞きつけた。彼らは一目散に草むらに駆け込むと、若い男たちを蹴り飛ばして人美たちを救った。彼女たちを襲った二人は大慌てで駐車場のほうへ走って行き、止めてあった車であっという間に逃げて行った。
 人美たちはその後の帰り道で、先ほどの事件のことを冗談混じりに話し合っていた。少女たちには、ついさっきまでの恐怖を、笑いに変えてしまうエネルギーがあった。

続く…

情報システムの構築と開発に関する基本方針

 現在の技術動向や開発の生産性、コスト、リスクなどを考慮すると、現時点で考えられるシステム構築等の基本方針は、次のようになるのではと思索を続けています。

◆できるだけ小さくする
 システム化の対象を最小限に止めることによって、必要となる知識と時間を最小化することで、リスクを極小化する。

◆なるべく作らない
 可能な限り既存資産を活用し、新規の構築等を最小限にすることで、コストを抑制すると共にリスクを極小化する。

◆なるべく所有しない
 IT資源の所有を最小限に止めることで、所有コストの発生を抑制する。

◆シンプルにする
 システム アーキテクチャーを可能な限りシンプルにすることで、構築等の容易性を高めると共に、障害発生時の対応時間を短縮する。

◆体験を繰り返させる
 サービスの利用者には、構築等の工程全般を通して「体験」を繰り返させることによって、システム関与への主体性を必要な水準に維持するよう努める。

2009年10月29日木曜日

クラウド インパクト - その翌日

 クラウド インパクトから一夜明けました。昨夜は仕事仲間と一杯やりながら、これからのIT産業について語り合いました。話題の中心はもちろんクラウド コンピューティング… そして今朝起きてから今までも、ずっとクラウドのことを考えています。

 なぜこれほどの衝撃を受けるのか? クラウドってそんなに凄いの? 疑問を持たれる方も多いでしょう。私は「それほど凄い」とお答えします。より具体的にいうならば、salesforce.comが凄いのです。

 例えば、こんな例え話はどうでしょうか…
 あなたは車好きで、スポーツカーに憧れていたとしましょう。しかし、その価格は700万円。とても手が出ないと諦めていたところへ、200万円のスポーツカーが発売されました。あなたは驚くと同時にその車の品質や性能に疑問を持つでしょう。なぜなら、あなたの常識を越えているからです。しかし、セールスマンは答えます。「安全性、性能、どれも700万円の車に引けをとりません。むしろ、こちらの方が優れている点もあります」と。あなたは喜びよりも衝撃を受けるのではありませんか?
 あるいは、あなたには妻と二人の子供がいて、ミニバンを所有していたとします。でも、本当にあなたが乗りたいのはスポーツカー。しかし、ツーシーターの車では家族で出かけられないし、2台持つような贅沢もできません。ところが、あなたが必要な時に、必要な用途の車を、必要な時間だけ借りることができるサービスがあって、しかもその料金が月額1万円だったらどうでしょう? 駐車場代より安いの?! やはり、あなたは衝撃を受けるのではありませんか?

 私に昨日起こり、今もなお余波が続いている衝撃は、このように例えることができると思います。
 頭では分かっていました。特定のリソースを世界的規模で共有しているのですから、ひとりあたりの負担が少なくなるのは当然のことです。しかし、自ら要件を定義し、自ら開発コストを見積もったシステムのコスト(初期導入コスト)が半分以下で目の前に示された時、本当の理解をしたのです。
 おそらく、この衝撃はドンドン拡がっていくでしょう。既に霞ヶ関ではsalesforce.comの快進撃が始まっているとの報道もあります。

 クラウドに対して疑問を持つ人たちは、「すべてがクラウドになるわけではないだろう」と考えるでしょう。しかし、それは「今は」という前提条件付の認識です。もしかしたら、明日にはすべてがクラウドになる技術が生まれるかも知れません…

2009年10月28日水曜日

まさにクラウドの衝撃

 本日、早速と新システムをクラウドで構築する件の概算見積が私の手元に届きました。タイトルのとおりです。衝撃的な金額が出てきました! 手組みを想定した私の見積額の半分以下です。もちろん、既存資産を活用するわけですから、手組みより安くなるのは分かりますが、ここまでとは驚きです。
 加えて、要件開発を自社で行った点もコスト削減に大きく貢献していると思います。自分でいうのも何ですが、しっかりとした開発者が社内にいることは、クラウドのパワーをより一層高めてくれると感じました。
 本見積ではもう少しコストが膨らむかも知れませんが、この衝撃が損なわれることはないのではと思うので、今日はおいしいお酒が飲めそうです。

2009年10月27日火曜日

システム管理者のプライド

 本日、上席に対して現在検討中のシステム化案件について、クラウド適用のための具体的な検証ステップを説明し、了承を得ました。これより、私と部下がそれぞれ完成させた要件開発書に基づき、概算見積りを要求する段階に移行します。概算見積りによりクラウドへの投資対効果が確認されれば、我が社はふたつのシステム案件を同時にクラウドで実現することを目指すこととなります。
 俎上に上がっているふたつのシステムは、当初の計画では手組みで開発することを想定していましたので、RDRAを基礎とする要件開発までが終了しています。よって、画面数、帳票数、機能数、DB構造などから社内見積りも完了していますので、クラウドの効果をかなりの精度で見積ることができると考えています。
 もし、クラウドの導入が実現されれば、我が社では比較的新しい技術トレンドのほとんどが稼働することになります。新しければ良い、というわけではもちろんないですが、安くて高品質なものを早く導入するためのチャレンジは絶え間なく続けていく、というのが私の大きな方針のひとつですから、クラウドというものは大いにチャレンジ精神をくすぐります。

 ところで、こんなチャレンジを続ける私にはちょっとした楽しみがあります。私の上席たちはITにどちらかといえば疎い人たちですが、例えば「仮想化」というようなキーワードを普通に口にします。つまり、旬なキーワードを局所的に理解していて、最近では「クラウドとは雲をつかむような話だ」と親父ギャグを口にすることもあります。私のせいで次から次へといろいろな横文字に触れる彼らの反応を見ているのは、何となく愉快なものです。そして、神奈川の中規模な不動産会社で時代の先端をいくシステムが稼働していることを当たり前のように思っている彼らの存在は、私の小さな誇りでもあります。

二胡

 alan は10歳の時に二胡の演奏を学び始めたそうです。いろいろな楽器がありますが、このニ胡は私が好きな楽器のひとつで、その艶やかさに微妙な「枯れ」が混ざり合った音色に惹かれます。
 楽器には、必ず振動する部分があり、その振動を増幅することで音色となります。例えば、ニ胡は弦の振動をボディが増幅する。木管楽器はリードの振動を、金管楽器は唇の振動を円筒管以降の構造が増幅します。ゴムをはじいても音を出すことはできますが、楽器として用いるためには何らかの増幅機構により音色に加工する必要があります。また、演奏に耐えうる音量を得ることも楽器の重要な要素です。
 電気楽器はさらにさまざまな要素によって音色を得ることができます。その代表はエレクトリック ギターです。弦とボディの構成に、さらにピックアップという振動を電気信号に変換する電気部品が加わります。さらにアンプ。これによってアコースティック楽器を越える音量を得ると共に、ディストーションなどの音色加工効果を得ることもできます。電気信号に一度変換されてしまえば、さまざまな機器により音色は自在に加工することができるというわけです。
 シンセサイザーは、音源自体を電子的シミュレーションによって変更することができます(この方式が本格的に採用されたのは、ヤマハのデジタル シンセサイザーDX7のFM音源です、っと記憶しています)。この点が、他の楽器と大きく異なるところです。しかし、アコースティック楽器の真似をしようとすると、難しくて真似のできないところがあります。それはアタック部分(音の立ち上がり部分)です。これを補うために、アコースティック楽器のアタック部分をサンプリングし、これとシンセの持続音とを合成することによってリアルな音を作り出すというアイデアなどが考え出されました(ローランドのSA音源など)。このようなことを書くと、シンセサイザーには固有の音がないように思うかも知れませんが、かつての私のようなキーボーディストたちは、ヤマハとローランドとコルグといったメーカーや機種の違いをかなりの確立で聞き分けることができます。さまざまな音に加工できても、やはり楽器にはそれぞれ固有のクセがあるのです。そして、そのクセが音色の好みの核心部分となります。

2009年10月26日月曜日

ランニンググローブ

 ランニング用のグローブを買いました。










 薄くて、軽くて、いい感じです。新しいアイテムが手に入ると、早く走りたい気分になります… ちなみに私はサッカー少年だったので、ついアディダスを選んでしまいます。

社内ブログの可能性

 自分がブログを始めてから、社内ブログの必要性を感じ始めています。既に導入している企業もありますが、既存のワークフローツールやナレッジマネジメントシステムよりも、幅広い活用ができそうです。
 例えば報告書。ブログに書き込めば上司だけではなく、全社レベルで個人個人の業務を可視化できます。プロジェクトの進捗報告やナレッジの共有。掲示板にも使えますし、改善提案を始めとするアイデアや意見の公開とその議論にも。アンケートなども簡単にできますし、社内コミュニケーションの活性化も期待できます。社外からアクセスできるようにすれば、緊急時の対応マニュアルを参照するようなことも簡単にできます。
 いろいろと可能性がありそうな社内ブログ。来期の予算項目として検討を進めようと思います。

My Musicについて

 私は高校2年の時に音楽に目覚め、音楽の専門学校中退後、業務用BGMの作曲や原稿執筆、専門学校の講師などを25歳くらいまでしてました。
 My Musicで紹介するのは、マスターテープが残っていて、かつデジタル リマスタリングしたものです。
 レコーディングはすべて自宅。シーケンサーで演奏データを記録し、各種音源で再生したものをマスターに落とすという手法です。

 主な機材は次のとおり。

 Roland JUNO-106:シンセサイザー(最初に買ったシンセ)
 Roland SUPER JUPITER JX-10:シンセサイザー(主にシンセブラスと演奏に使用)
 Roland S-330:サンプリングマシン(主にピアノ、ストリングス、民族楽器の音源に使用)
 Roland D-110:マルチ音源シンセサイザー(パッド系、キラキラ系の音源に使用)
 KORG M1R:マルチ音源シンセサイザー(主にディストーション ギター、オルガンの音源に使用)
 Roland R-8:リズムマシン(私の基本セットはツーバス、6タム)
 Roland MC-500MkⅡ : シーケンサー

写真の紹介

 この人いい写真撮ります。
 風景写真ブログ THE SCENE 竹内幸次の写真ブログ

2009年10月25日日曜日

Yagudin Step

最近フィギュアスケートの話題に触れ、ロシアのヤグディンを思い出しました。彼のステップを最初に見た時は本当に感動的でした。久しぶりに今見ても、やはり素晴らしいです。

ランニング日記

 昨日は雨のためお休み。今日はいつもの5Kmコースを走ってきました。最近週1ペースが続いてしまっているので、何とか平日も走る時間を作りたいところですが、仕事がかなり立て込んでいます。
 今日はウィンドブレーカーを着て走りましたが、ちょうどいい感じでした。それと今日感じたことは、手先に冷たさを感じるので、グローブをしたほうが良さそうだということです。近いうちに冬のウェアを買いに行こうと思います。

2009年10月24日土曜日

小説『エクスプロラトリー ビヘイビア』について

 小説『エクスプロラトリー ビヘイビア』は、私が1994年の初夏から冬にかけて執筆した初めての小説です。A4用紙2,000文字換算で146ページにもなる大作です。
 この当時、私は冒険小説やホラー小説に夢中になっていました。フレデリック フォーサイスやスティーヴン キングを中心に、たくさんの小説を読みまくりました。そして、自分も書きたい衝動に駆られ、もともとはホラー小説として書き出しました。しかし、書き進めるうちに方向性が変わり、冒険小説的な作風となりました。
 主人公である沢木聡は知性に優れた男です。もう一人の主人公、見山人美は勇気ある少女です。知性と勇気で困難に立ち向かう。こんなテーマで書き上げた作品です。

小説『エクスプロラトリー ビヘイビア』(1)

小説エクスプロラトリー ビヘイビア』は笹沼透(Satohru)の著作物であり、著作権法によって保護されています。無断で本小説の全部または一部を転載等利用した場合には、民事罰や刑事罰に問われる可能性があります。

『エクスプロラトリー ビヘイビア ― Exploratory Behavior』

人の可能性とはどこまで広がるのだろう。
あるいは、
人の能力とはどこまで掘り下げられるのだろうか。
人の心の奥底には、何が棲み何をさせようとしているのか。
善なのか、悪なのか。
知あるところには希望が満ち、
勇気あるところには道が開かれるだろう。
人は生まれた瞬間から命が尽きるまで、
知と勇気を携えながら、人生を冒険し、探究し、
歩んでいかなくてはなるまい。
― Exploratory Behavior ―
それは、未知なるものへの探索行動である。

第一章 フィジオグノミック パーセプション ― Physiognomic Perception

うだるような暑さの中、全身ににじみ出る汗をぬぐおうともせず、彼はベッドに座りながらある一点を見つめ、思索を繰り返していた。開け放された窓からは塩気を含んだ海からの生ぬるい風と、神経を逆なでするような無数のセミの鳴き声がなだれ込んできていた。彼の視線の先には、壁に画鋲で留められた一枚の写真があり、そこには十八歳の少女が一人写っていた。ショートカットの栗色の髪、シャープな顔の輪郭、見つめられたら凍りついてしまいそうな瞳、余計な脂肪などただの一つもついていないようなスレンダーな身体、かわいらしくも妖艶な雰囲気、そんな少女の写真だった。
彼の名前は沢木聡。相模重工の主席研究員として、総合技術管理部に籍を置く技術者である。彼にその少女の写真を渡したのは、同じ相模重工の白石会長だった。
昨夜、沢木は白石の自宅に呼び出された。彼は白石からいたく信頼され、期待されていた。この晩も、現在進行中のプロジェクトの件で話があるのだろうと思っていた。しかし、展開は全く意表をついた―
白石はいきなり写真を机に置くと、沢木に感想を求めた。
「この娘をどう思う」
沢木はしばらく写真を見つめた後に答えた。
「独特な雰囲気のある少女ですね、誰なんですか」
白石には子供が一人いるが、とっくに成人し、現在相模重工の副社長の椅子に座っている。
「わしの古い友人の娘でな、今度海外に赴任することになったんだが、高校卒業まで後七カ月ということで、それまでの間、わしのところで預かることになったんだよ」
「そうですか。でも、なぜ私に写真を? まさかお見合いでもないでしょう」
白石は笑みを漏らしながら答えた。
「君には若過ぎる相手だろう」
沢木は三十二だった。白石は話を続けた。
「実は、わしも半信半疑なのだが、この娘には何か不思議な力があるらしいのだよ」
「不思議な力ですか。超能力とでも?」
沢木は冗談っぽく言った。
「よく分からん」
そう言いながら白石は机のところまで歩いて行き、引き出しの中から数枚の便箋を取り出した。
「これを読んでみてくれ、友人がわしに相談するために送ってきた手紙で、これまでの不可解な出来事のいくつかが書いてある」
沢木は便箋を手に取り読み始めた。

白石 功三殿

一九九五年七月十三日  見山 哲司

前略。ここ一年あまりご無沙汰しております。貴兄並びにご家族の皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。私は来月七日からアメリカに赴任することが急に決まり、その準備に追われる毎日を過ごしています。
さて、お手紙を差し上げたのは、貴兄に相談したいことがありましたからです。その相談とは人美のことです。
お陰様を持ちまして、人美もこの五月で十八歳になりました。友人にも恵まれているようで、高校生活を謳歌しております。しかしながら、私は最愛の娘である人美を、とても恐ろしく思うことがあるのです。貴兄にはおそらく信じられないことと思いますが、人美には何か恐ろしい力、不思議な力があるように思えてならないのです。一言で言えば、超能力とでもいいましょうか。
このような相談を一体どこにすればいいのかと悩んだ挙げ句、貴兄のことを思いついたのです。現在、貴兄の相模重工は世界でも屈指の重工業メーカーにまで成長し、さまざまな研究機関があると聞いております。貴兄に力をお借りすれば、人美の持つ力について、何か答えが出せるのではないかと勝手に想像した次第です。
まずはこれまでに起こった、人美がしでかしたであろう出来事を、いくつかご紹介します。どうか、バカげた妄想と思わずに最後まで読んでください。そして、お力を貸して頂ければ、たいへん幸せと思います。
最初の出来事は人美が七つの時、小学校に入学した年のことでした……

沢木は手紙を読み終わると、ワイシャツの胸ポケットからタバコを取り出し、その煙を深く吸い込んだ。
「感想は?」
白石が尋ねた。
「非常に興味をそそられますね。ここに記された出来事は、単なる偶然にしては話しができ過ぎています。何か…… 何かあるのかも知れませんね」
白石は期待どおりの沢木の反応に満足しながら言った。
「思ったとおりだ。好奇心旺盛の君のことだ、きっとそんな反応をすると思ったよ」
沢木は苦笑しながら答えた。
「とはいうものの、見山氏の推測を手放しに受け入れるつもりはないですがね」
沢木はタバコの灰を灰皿に落とした。
「で、会長は私に何をやれと言いたいんですか」
白石はいつになく真剣な眼差しで沢木を見つめながら言った。
「ずばり言おう。真相を究明してくれないか」
沢木は深い溜め息を吐いた。
「会長、確かにこのことは興味を引かれるテーマではあります。ですが、私の専門は制御システム工学ですよ。超自然的現象の有無を確かめるなどというものは専門外です」
沢木はその好奇心とは裏腹に、慎重にことを構えた。
「それはよく分かっているよ。しかしな、沢木。この手紙を寄越した見山という男は、娘と過去の出来事を関連づけて、真剣に悩んでおるのだ。わしとしてはなんとか力になってやりたいのだよ。偶然でも超能力でも原因は何でもいい、とにかく見山君を安心させてやりたいんだ」
「ですが会長。そういう趣旨ならば興信所なり何なりに、調査を依頼したほうがよいのではありませんか」
「ああ、そういった選択も見山君と考えたよ。だが、ことは娘さんに関わるデリケートな問題だ。仮に原因が人美さんの能力によるものだった時のことを考えてもみろ、やはり信頼できる者に調査をさせるのが一番だ。そうは思わんか」
「ええ、それには同感ですが……」
白石は腰かけたソファから身を乗り出して尋ねた。
「沢木。君は超能力をどう思う。そんなものは存在しないと思うかね」
「いいえ、ないとは思いません。しかし、あるとも思いません。つまり、私の既知の範囲では、存在云々は語れないということです」
白石は声を若干張りあげた。
「ならば沢木よ。この機会にそのことの有無を確認しようではないか。はたして人美さんに超能力があるのか、あるいは偶然とはいくつも重なるものなのかを」
沢木はタバコを揉み消しながら言った。
「会長。会長はあくまで、この件を私にやらせたいのですか」
「ああ、そうだ。君は信頼できると同時に、頭の切れる男だ。なにがしかの策を必ず講じられるはずだ。考えてみろ、あるだろう、切り口が」
沢木はしばし考えた後、白石の言わんとしていることが分かった。
「なるほど、確かにASMOSを使えば、ある程度のことはできるかも知れませんね。しかし、それはあくまで見山人美という少女に特異な精神的能力がある場合に限定されます。真相究明となると、人員、時間、資金も必要になります」
「すべては君に任せる。君が思いどおりにことを進められるよう、取り計らおう」
白石は一息おいてから言葉を続けた。
「もしもだ。もしも、超能力なるものを発見できたなら、そのメカニズムを解明できたなら、これは間違いなくある種の革命をもたらすぞ。そうなれば、我が相模の可能性もますます広がるというものだ」
白石はしたたかな笑みを浮かべた。沢木はその笑みを見ながら、白石の商魂たくましさを改めて知ったと同時に、彼の本心がどこにあるのか、それが気になった。
「会長、正直におっしゃってください。会長は、見山親子のためにことの究明を図りたいのですか、それとも、相模の利益のためですか。はっきり言っておきますが、私は一人の少女を利潤追求と結びつけるような考え方は受け入れられません」
そう語る沢木の目は、白石に威圧感さえ与えるほど鋭かった。白石はその目を見ながら思った。
やはり、この男に限るな
そして言った。
「両方だよ、沢木。わしは見山親子のことを心から心配している、と同時に相模の未来も考えている―技術屋の華は新しいものを発見すること、すなわちチャレンジだ。常識や手垢のついた知識にしがみついていては何もできん。沢木、君ならそれができるはずだ」
沢木は白石に相模重工への誘いを受けた時の言葉を思い出した。
〈技術者はあらゆる可能性にチャレンジせねばならない。私は君に冒険の舞台を用意しよう〉
沢木はYS‐11を創った男に敬意を込めて答えた。
「分かりました、可能な限りのことをやってみましょう」

続く…

My Music

 昔々、私がミュージシャンだった頃の作品を取り敢えず2曲紹介します。
 *うまく再生されない時は、ファイルをダウンロードして再生してください。

 次の2曲は私が最後に創ったものです。

Music 1
 ハードロックとギタリストへの憧れを、シンセサイザーで表現したものです。

Music 2
 私の代表作といえるバラードです。ギターソロ風のシンセソロは、Steve Vai と Brad Gillis に影響を受けたものです。

なぜか突然、初音ミク

 初音ミクの公式デモ曲「星のカケラ」を制作したのは 平沢栄司 氏。彼は私の専門学校時代の同級生で、卒業後、いくつかの仕事を一緒にしたこともあります。ちなみに、私もかつてはミュージシャンとして仕事をしてました。もう何十年も会っていませんが、活躍されているようでうれしいです。

2009年10月23日金曜日

RDRA(2) - RDRAとの出会い

 私は今から10数年程前に、初めてオブジェクト指向に出会った時、この方法論をVisual Basicでのアプリケーション開発の設計に組み入れることができないかと研究したことがあります。その頃のVisual BasicはVersion 4.0で、Classモジュールが使えましたが、本格的なオブジェクト指向言語ではありませんでした。しかし、設計にオブジェクト指向のエッセンスを組み入れることで、設計の品質を向上することができるのではないかと考えたのです。

 それからしばらくして、Visual Studio 6.0のリリースと共にVisual BasicがVersion 6.0にアップグレードした時、Visual Studioの同梱ツールの中にVisual Modeler 2.0というツールを見つけました。これはUMLによりアプリケーションモデルをデザインするためのツールで、3階層アプリケーションをユーザーサービス、ビジネスサービス、DBサービスの3つのレイヤでデザインしていくツールです。私は直感的に、これなら自分の思い描く設計ができるなぁ、と考えました。

 私はVisual Modelerを使って、ユーザーサービスに画面、帳票、ファイルを、ビジネスサービスに共通関数とDBクエリーを、DBサービスにER図を描き、それらのアイコンを関係線で結んだのです。「アプリケーションが見えた!」と強く思いました。「これを描きたかったんだ!」っと。独学でITに関するさまざまなことを学んできた私にとっては、大きな一歩です。しかし、この方法は設計を網羅していません。画面は並んでいますが、業務が見えないのです。また、Visual Modelerでそこまで描こうとすれば、巨大なクモの巣ができるだけです。

 それから数年後、次期基幹システムの開発が大きな問題を抱えた時、私は今更ながらに要件開発の重要性を再認識しました。このままではダメだ。やり方を変えなければ再び失敗を繰り返すと… そこで書店に何度も足を運び、要件定義に関する本をいくつも立ち読みしましたが、どれも実践性に欠け、私を満足させるものではありませんでした。自分で試行錯誤するしかないのだろうか? そんな思いである書店の書棚を見ると、『顧客の要求を確実に仕様にできる要件定義マニュアル』という何とも心強いタイトルの本を見つけました。これは「リレーションシップ駆動要件分析(RDRA)」を用いた要件定義の本でした。パラパラっとめくり、まあこれでも買ってみるか、と軽い気持ちでレジに並びました。そして電車の中で読み進めた時、ああ、これで自分の求める要件開発ができると強く感じました。決して大げさではなく、これは自分の限界を突破した瞬間です。知識は成長を促し、成長とはそれまでの自分の限界を超えることです。

 私は本を片手にVisioを使ってモデリングを繰り返しました。そしてすべてのモデルを書き終えた時、「要件が見えた!」と実感しました。要件、すなわち「どのようなシステムを作るか?」が定義できたのです。これまでの私は、RDRAでいうところの画面帳票モデル、機能モデル、データモデルの関連性には着目できていたのですが、それをシステム境界の外側にまで広げるという発想に欠けていたのです。ちょっとした発想の違い、しかし、とてつもなく大きな違いです。

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RDRA

2009年10月22日木曜日

ITの学び方(1)

 私の周りにいる若いエンジニアたちと話しをすると、自分の未熟さを感じつつも学習意欲が湧かなかったり、どのように勉強して良いのか分からないでいたり、前時代的な学習パターンを未だに行わされていたりすることが多いようです。
 人が成長するために学習というプロセスはなくてはならないものですが、学習を行うシステム、つまり、学習意欲の醸成と学習の実効環境が整わなければ、特にドックイヤーといわれるスピードで変化を続けるIT業界で、長く仕事を続けることは困難なこととなるでしょう。
 また、学習による知識の吸収は、比較的容易に自身の成長を実感できる要素です。昨日は分からなかったことが今日は分かる。これは成長であり、多くの人が喜びを感じることです。成長が実感できなければ、学習意欲や勤労意欲、場合によっては人生そのものの意味を失ってしまうかも知れません。
 このような事態にならないためにも、ITを仕事とすることに携わるマネジメント層は、教育の問題を真剣に考え、学習のPDCAサイクル基盤を組織能力として定着させる責任を愚直に実行する必要があります。

 本来、学習は自身の意欲によって継続的に行われるものですので、すべての人々が自立的に学習を進めるのであれば、組織的な動きはかなり少なくて済むかも知れません。私自身の話をすると、ほとんど独学でITを学び続けています。はじめてパソコンに触れた頃は、雑誌をよく読んでいました。そしてプログラミングに関心を持つと、Excel VBAの本を通勤電車の中で読み続け、Visual Basic 2.0を買った時には、いろいろなプログラムを書きまくりました。VBを自分で買う人は多いかも知れませんが、私はVisual TestというテスティングツールからMSDNまで自腹でそろえたのです。PCもこれまで5台買いました。その内の1台は、3GByteのメモリを搭載したもので、これにVirtual Serverをインストールし、3階層C/Sの実装実験に使いました。本も相当買いました。お金と時間、これまでの自分への投資は相当なものだと思いますが、これが今日の私を支えています。
 しかし、このやり方には限界があります。次々と出現する学習対象に自己の資金だけで挑むのでは、十分な学習を継続することはできません。また、私のようにどん欲な学習意欲を持つ人は、それほど多くはいないと思います。やはり、組織的な学習基盤を確立し、これによって個人の学習意欲を刺激するような施策が必要となります。

 学習による習熟度というのを組織的に把握するのはなかなか難しいことです。研修に行かせても、居眠りしているのでは意味がありません。私も何度も講義中に別世界にいたことがあります。また、テストで瞬間的な「記憶」を計ることはできても、それが実践力を伴うものかの判断がつきません。そんなことをあれやこれやと思案しているマネジメント層や研修担当者は、自らの組織に必要な学習システムを作るのではなく、ありきたりの研修や資格取得を勧めることで終わっているのではないでしょうか?
 伝統的な教育手法も大切ですが、ITの領域では、何よりも体験的もしくはアウトプット型の学習スタイルが重要です。また、知識の実践が利益に深く結びつくIT産業では、ベンダー資格により高い価値があるといえるでしょう。

 では、学習する側、させる側、それぞれどのようなアプローチが考えられるのでしょうか? 次回は、その点を考察してみたいと思います。

2009年10月21日水曜日

システム障害

 久しぶりにシステム障害が発生しました。大きな障害を解決し、数か月安堵の日々を送っていたのですが、神様はなかなか楽はさせてくれないようです。
 昨日の11時ごろに最初の報告を受け、22時過ぎまで対応に追われました。原因は特定できず、暫定対策を打ったところで家路につきました。障害の大小を問わず、システム管理者としてこのような事態を起こしてしまうのは、ユーザーの期待を裏切るようで本当に心が痛みます。
 しかし、一企業の事業継続性の一翼を担う者として、落ち込んでいる暇などありません。このような事態になった時、私の上司はほとんど無力です。頼りになるのは部下と運用を委託している企業の技術者たちですが、彼らとて、私の指示がなければ思うところがあっても行動に移せません。決断ということに関していえば、孤独であることを感じつつも、適切な対処をしなくてはならないのです。
 自動車の安全対策は、パッシブ セーフティーからアクティブ セーフティーの時代に入っているそうです。事故を起こした時の安全対策から、事故そのものを起こさない安全対策が実装され始めているということです。システムについてはどうでしょうか? 私はパッシブ セーフティーの世界から離脱するのはまだまだ遠い先だろうと考えています。つまり、起きてしまった障害の被害を最小化するための「復旧力」が、システムを使う者、作る者、運用する者、管理する者に問われるのだろうと考えています。
 では、私のようなシステム管理者の復旧力とは何でしょうか? それはリーダーシップであると考えます。私が意見しなければ、社は対応の方向性を見出すことができません。私が説明しなければ、ユーザーは不満や不安を解消することができません。私が指示しなければ、内外の技術者は行動できません。私が宣言しなければ、障害は終息しません。
 さて、今回の障害に対して、私はリーダーシップを発揮できるのでしょうか? 数時間後、会社の始業のベルが鳴ります。じっくりと考えている時間はありません…

2009年10月20日火曜日

セールスエンジニア?

 セールスエンジニア、という肩書の方にデータモデル図を見せたところ、その方、多重度表記の意味をご存じありませんでした。知らないからといって、その人の能力云々をいうつもりはありませんが、代表的なモデル図といえるデータモデルの表記法を知らないというのはちょっと驚きでした。会社から与えられた肩書なのでしょうが、エンジニアという肩書から私が受ける期待とはフィットしないようです。コンサルタント、アーキテクト、プロジェクト マネージャー、SE… 肩書きがフィットしない人って、私はかなり多く出会ったことがあります…

会社案内

 採用担当の課長から折り入って相談が… っと声をかけられ、何かと思えば新卒採用用の会社案内を作ってくれと依頼されました。私はこれまでCIやブランド構築などの企画をいくつか担当すると共に、インターネットによる広報宣伝も担当していますので、そんな所を買われたのではないかと思います。
 「何かを考えて生み出す」という作業は私の好きなことであり得意なことですので、このような仕事は直ぐに引き受けてしまいます。多忙な時期ではありますが、せっかくですから素晴らしいものを作りたいと思います。久しぶりにIllustratorを起動しなくては…

2009年10月18日日曜日

今後の執筆予定

 今回は、Stohru Noteで今後執筆を予定している内容についてメモします。

次期基幹システムのパフォーマンス インデックス開発
 このシステムは6台のサーバーが主要な機能を担っています。
 SQL Server 2005をデータベース ミラーリングで動かすための2台のDBサーバー。ビジネスロジック層をWebサービスで負荷分散しつつ提供する2台のAppサーバー。プレゼンテーション層を負荷分散しつつ提供する2台のAppサーバー。これらのサーバー群の個々のパフォーマンスを集約し、ひとつの値としてシステム全体の負荷状態を表すインデックスを開発する予定です。
 このようなインデックスの開発は、シンクライアント システムのパフォーマンス低下問題を解決するために大変役に立ちましたので、本システムにおいても運用テスト中にVersion 1を完成させたいと思っています。

BCPへの取り組み
 事業継続計画の必要性は分かっていても、具体的な取り組みとなると迷ってしまう。そんな方もまだまだいらっしゃるのではないかと思います。私自身も試行錯誤の最中ですが、約1年半の取り組みの中で敷居を低くする手順を導き出すことができましたので、これについてレポートしたいと思います。

システム開発の上流工程
 これは非常に奥深いテーマですが、私なりの方法論を書いてみたいと思います。

次期基幹システム開発レポート
 既に数回執筆していますが、引き続きレポートしていきたいと思います。

次期ITインフラストラクチャー開発レポート
 こちらも既に数回執筆しているテーマです。構想段階からのスタートですので、実装の日までレポートを重ねたいと思います。

グラウド導入レポート
 おそらく要件開発中の業務システムはクラウドにすると思います。その工程をレポートします。

ランニング日記

 一週間振りに走りました。しかし、ウォーミングアップを念入りに行ったせいか、大変気持ちよく走ることができました。タイムは先週より1分ほど遅かったですが、信号待ちに2回捉まったことを考えると、実際は前回よりのいいペースで走れたのだと思います。
 マラソン大会の後から今の海沿いコースに変更しましたが、やはり海を見ながら走るほうが楽しいですね。これからの季節は交通量も減りますし、しばらくはこのコースで走り続けてみたいと思います。

子宝草(2)

 子宝草がだいぶ大きくなったので、バルコニーのプランターに移しました。

2009年10月17日土曜日

MMQ

 netCommunityの見学後、フラフラと有楽町方面へ。
 路上に椅子を並べた飲み屋がガード下を中心にたくさんありました。もちろん、そのうちの一軒へ…













生ビールで乾杯です。










 友人がメニューに変わった記載を発見しました。
 「MMQ」って何だろう?
 頼んでみました。

 マヨネーズ・明太子・きゅうり、でした…

netCommunity

 netCommunityは、富士通の新しい技術や施策のショールームです。いろいろなものを案内していただきましたが、印象の強いものについてコメントします。

●地域医療連携システム「HOPE/地域連携」
 電子カルテを中心とする患者の医療情報を、地域で共有するシステムです。これにより医療の中身が複数の医師間で「見える化」された結果、医療の品質向上にも寄与したという点は興味深いです。先に運用テストの「見える化」についてコメントしましたが、この事例により戦術の妥当性を確認することができました。

●どこでも位置が分かるソリューション
 私は以前、アマノの時間認証を見た時に、後は位置認証だなぁ… と思いました。つまり、個人認証、時間認証、位置認証が行えれば、ビジネスや社会福祉等のさまざまな局面で新しい価値が創造できると思ったのです。その後、GPSが普及してきましたが、これには衛星からの電波が必要です。
 今回のソリューションは、さまざまなセンサーから位置情報を読み取ることができるというものです。まだ参考出品の段階ですが、これが小型化され、製品化されれば、イノベーションが起こるかも? しれませんよ。

●リスクマイニング技術による予防型安全管理の実現 ~「情報大航海プロジェクト」における富士通の取組み~
 テキストマイニング、これはずっと欲しいと思っている技術です。でも高額なので、まだ我が社には手が出ないですね…

次期ITインフラストラクチャー(2)

 富士通長野システムエンジニアリングの技術者とお会いしました。しかし、仮想化ソリューションに強い富士通のグループ会社がなぜ長野なんでしょうね? 比較的新しい技術なので、都市部の企業が担当しているイメージを持っていましたので、長野の会社が仮想化に強いというのはちょっと意外でした。この疑問をお聞きしたところ、富士通からの要請で仮想化技術を富士通グループの中で担当するようになり、今では富士通グループの仮想化ソリューションの中核組織となっているとのことでした。
 約1時間半、お話をさせていただきましたが、お会いした技術の方は、相当の実績と知識がある方のようにお見受けしました。また、お人柄にも好感を持てましたので、これが本日の収穫のひとつとなりました。
 もうひとつの収穫は、富士通のプラットフォームソリューションセンター(Platform Solution Center)で実装実験を行うというアイデアです。このセンターは、以前プライムクエスト(PRIMEQUEST)の見学で訪ねたことがありますが、非常に素晴らしい施設です。このような施設で実験を行えるというのは、一技術者として、非常にワクワクします。

東京出張

 昨日は東京へ次期ITインフラの打ち合せと、富士通のnetCommunityを見学に行きました。少し早く着いたので、日比谷公園を散歩しました。穏やかでよい天気でした。

2009年10月16日金曜日

次期基幹システム(4)-運用テスト進行中

 基幹システムの運用テストは今日で9日目、今のところはほぼ順調です。
 エンドユーザーによる運用テストは、テストの品質レベルを維持することが重要ですが、これは要件開発と並ぶシステム開発工程の難所であると認識しています。品質保証のV字モデルにおいてエンドユーザーが介在する部分は、「何を作るか?(要件定義)」、「うまくできたか?(運用テスト)」を確認するシステム開発工程の要ですが、エンドユーザーと開発者の間に起こるさまざまな物事のギャップが、結果としてこのプロセスを難所としてしまいます。また、このプロセスの主体はあくまでもエンドユーザー(要求者)であり、開発陣ができることはひと言でいえば支援のみです。システム開発の委託契約が委任型になるゆえんもここにあります。
 さらに、エンドユーザーは「ずるさ」を持ち合わせています。この「ずるさ」の本質は主体性の欠如です。つまり、「やらされ感」とか、「誰かがやるだろう」とか、そうした一人ひとりの主体性欠如がプロジェクトを失敗に誘い込んで行きます。
 私は次期基幹システムの開発総指揮者ですから、この「ずるさ」と対峙しなくてはなりません。要件開発に対しては、RDRAを採り入れた新手法を武器に闘います。さて、運用テストでは何を武器にしたらよいでしょう?

 私は、それは「見える化」であると考えます。人間とは、自尊心や羞恥心という感情を持っていますが、これを刺激されると行動に結びつきやすくなります。つまり、全エンドユーザーの運用テスト状況を公開することにより、「自分もやらなくては」という動機付けを行うことが主な狙いとなります。また、テスト品質の評価など、見える化は非常に有益な武器となります。
 昨日、エンドーユーザー毎に、どの画面に何回アクセスしているかをまとめたレポートを配付しました。今朝ログを確認すると、その効果を確認することができました。私の戦術は取り敢えず成功したようです。しかし、まだ十分なテスト品質とはいえません。テストの深さが足りないのです。
 引き続き、見える化を武器に運用テストのPDCAを回していきたいと思います。

続く…

2009年10月15日木曜日

与那国

 沖縄に行った友人からお土産をもらいました。













 与那国の3本セットで、左から30度、60度、43度です。
 まずは60度から。かなり高めのアルコール度数ですが、私はワイルドターキー(50.5度)をストレートで飲むこともあるので、これは問題にはなりません。しかし、焼酎には度数が高すぎるようで、香りがアルコールに押されてしまっているような気がします。
 次は43度。味と香りの輪郭が出てきます。
 そして30度。んーん、やはり焼酎にはこの位の度数が合うのではないでしょうか? おいしいですね。
 このような飲み比べができるセットのお土産は、酒好きの私には非常にうれしいものです。きっと、沖縄で飲んだらもっと美味しいんでしょうね…

ITエンジニア

 昨日は数名のITエンジニアの方たちと、お酒を飲みながら談笑しました。彼らは比較的小さな開発会社のエンジニアですが、それぞれがそれぞれの自負を持って仕事に励んでいるようです。
 彼らの意見の私なりの解釈は、ビジネス上の効率性よりも、お客様とのコミュニケーションや問題解決により多くの能力と時間を費やしているということです。大企業の効率性を重視する論理から見れば、彼らの主張は否定されてしまうかも知れません。しかし、現実にIT需要の大多数を占める中小企業を支えているのは、小さな会社のエンジニアたちなのではないでしょうか?
 多くの企業が成長を目指し、規模の大きな企業を成功モデルとして追従する動きが多く見られますが、私なりの言い方をするならば、
 「みんなが大リーグを目指してもしょうがない。リトルリーグにはリトルリーグの野球があると… しかし、リトルリーグも素晴らしい野球だ」
 と、いいたいですね。

2009年10月13日火曜日

alan 2nd ALBUM「my life」

 11月25日にalanの2nd ALBUM「my life」が発売されるそうです。

 初回限定生産盤は、CD+DVD構成で、「涙そうそう」、「涙」、「懐かしい未来 ~longing future」のSpecial Studio Live Session映像が収録されるとのことです。

エコパッチ:eco-patch

 先程、ネットチャート株式会社という会社の営業の方とお会いしました。大変気に入ったのは、エコパッチ:eco-patchというLANケーブルです。
 何が気に入ったかというと、このケーブル、太さが従来の1/2なのです! 早速サーバーラックの集約率をどの位高めることができるのかを検討したいと思います。
 また、今後はこのケーブルをサーバー周りに採用したいです。

2009年10月12日月曜日

ブルーインパルス

 YouTubeに映像をアップしてみました。
 あまりいい画ではありませんが、Canon G10でこの夏の横浜開港150周年で撮ったものです。
 飛行機も好きなのですが、実は一度も乗ったことがありません…

アジャイル開発をシンプルに考えてみる

 ITの言葉やパラダイムというのは、人によって定義が違っていたり、肯定派と否定派がいたり、不安定であることが多いように感じます。多くの人がさまざまな試行錯誤を技術的であったり、思想的であったり、異なる視点で行っているのですから、それは当然のことであり健全といえると思います。
 そんな中、アジャイル開発というのも、クラウドと並び見解の異なるものの代表のように感じます。

 私は、アジャイル開発をこんな風に理解しています。

 あなたがプログラミングの学習を始めた頃、オリジナルのアプリケーションを開発しようと思ったあなたは、設計書など書こうともせず、思いのままに画面を作り、プログラムを書いていったことと思います。そして、少し開発が進むとデバックし、あれっ! と思いながらプログラムを修正する。これを何度も何度も繰り返すことでできあがったアプリケーションは、それがどのようなものであっても、あなたの要求を高い確率で満たし、一定の満足を得ることができる成果として結実したのではないかと思います。
 つまり、こんなものを作ろうと考える要求者であるあなたと、開発者であるもうひとりのあなたが、恐らくこれ以上はないと思われるほどの良好なコミュニケーションを行いながら、要求を実現させたからだと考えられます。
 要求を定義するあなたは、開発者であるあなたの技量を良く理解しているので、時に妥協をしながら要求を定義することでしょう。また、開発者であるあなたは要求を良く理解しているので、技術的に困難な時には代案を具体的に示すことができるはずです。さらに、作られた画面やロジックは直ぐにレビューされ、要求とのギャップが直ちに修正されていったはずです。
 ひとりの頭の中の出来事なのですから、これは当たり前のことです。アジャイル開発という考え方の幹というのを、私はこのように捉えています。つまり、ひとりの頭の中で行われる要求者と開発者の良好なコミュニケーションとそこから生じるアクションを、現実のソフトウェア開発にできる限り適応しようとするものであると。

 どうでしょうか? とてもシンプルに理解できませんか?
 このような理解のもとにアジャイル開発に触れれば、今までと違う捉え方ができると思うのですが…

今日の横浜

 休日出勤です。途中、iPhoneでスナップを撮りました。












 横浜は良い天気です。カメラを持って散策したくなります。

2009年10月11日日曜日

ランニング日記

 今日も走ってきました。
 まずはウォーキングでウォーミングアップ。家の周り1.8Kmを17分48秒で歩いてからランニングへ。
 新コース2回目となった今日の走りでは、5.05Kmを35分10秒で走り抜きました。タイムだけみるとかなり遅いですが、起伏が激しいコースなのでまずまずと思っています。どの位起伏が激しいかというと、最大高低差40.7m、最大斜度11.09%です(42.195Km.netのジョギングシミュレーターより)。
 このコースでトレーニングを重ねれば、平坦なコースである大会では、5Kmを25分で走破する力が身に着くと思います。
 ちなみに今度の大会は11月1日なのですが、この日はジャズのコンサートに行くので大会はお休みです。

2009年10月10日土曜日

ブログを始めて思うこと

 ブログを始めて思うことは、自分の想いや出来事を記録することによって、気持ちや考えに整理がつくという点が良いということです。同じことは日記でも行えると思いますが、ブログは公開できるという点で物凄く意味が違ってきます。
 私のブログは何十人かの友人や知人が読んでくださってますが、自分が書いたことの反響を聞くのは実に楽しいものです。もともと人に何かを伝えたいという欲求が強く、10代から20代の前半まではミュージシャンを、20代中盤では小説家を目指していたので、ブログというアイテムはそうした欲求をいくらか満足させてくれるものだと感じています。というか、表現というのは楽しいものですし、理論上、世界中に自分の意見や写真を公開できることは、インターネットの素晴らしさです。
 今は思ったことを書き連ねているだけですが、いつかそれらをまとめあげれば、論文とかエッセイ集とか、そんなものに実を結ぶかもしれません。もし、ブログを始めてみようかな? と思っているのであれば、ぜひ始めてみることをお勧めします。

 インターネットの面白さ、というのもブログを始めて再認識しています。例えば、「Satohru Note」というキーワードをBingで検索すると、私のブログが2件ヒットします(2009年10月10日16時48分現在)。いずれも私のブログというよりは、あるキーワードが掲載されたブログとしてリンクが貼られているのです。インターネットの世界とは、こんな風に情報ネットワークが形成されていくのかな? と、新たな発見をしたところです。

ランニング日記

 マラソン大会以来、6日振りに走ってきました。今回のコースは海沿いを走るコースなので、気持ちのいい走りとなりました。iPhoneをアームバンドに入れて行ったのですが、出だしGPS機能が不調で、再起動後に復活しました。ですので全行程のデータを採取することができませんでしたが、5.94Kmの距離をウォーキングを含めて47分35秒で消化しました。明日はGPS機能を確認してから同じコースを走ってみます。

クラウドの定義

 ネットでクラウドコンピューティングに関する記述を見ていると、その定義があいまいだとする指摘が多いようです。おそらく、私は今後もクラウドコンピューティングという言葉をこのブログの中で使っていくと思いますので、私が定義するクラウドコンピューティングを明確にしたいと思います。

 クラウドであるための必須条件は、インターネット上にある情報処理サービスであることです。閉ざされたネットワーク上にある情報処理サービス(社内Webアプリケーションなど)を私はクラウドとは定義しません(つまり、プライベートクラウドという定義は私にはありません)。また、情報処理サービスというのは、文書や映像などの機能を持たないコンテンツと分離するための表現です。ちなみに機能とは関数です。インプットを与えると処理を行ってアウトプットを返す。これが機能であり、サービスです。

 クラウドの利用者は、オンデマンドにサービスを利用できなければなりません。ここに、クラウドの大きな意味があります。必要な時に、必要なだけ使い、要らない時には何もない。この、何もない、もクラウドの重要な要素です。つまり、所有コストが一切かからないことが大きなメリットとなります。

 技術的要素としてクラウドの要件を満たしても、それが提供するサービスが高額であってはクラウドではありません。少なくとも、所有より安く、手組み開発より安く、出荷数の少ないソフトパッケージよりも安価でなくてはなりません。つまり、インターネット規模で共有された結果、安価に提供されるサービスでなくてはクラウドとはいえません。

 クラウドとは、単なる技術的要素の集合ではなく、ビジネスに変革をもたらす価値の集合体であり、これによってイノベーションが生まれることが最も期待されていることだと私は考えます。

 これが私の考えるクラウドです。

2009年10月9日金曜日

クラウド コンピューティング

 これまでにも何度か触れてきたように、私は業務をストック系とフロー系に分類し、それぞれに異なるIT化のアプローチをとっています。それは、ストック系には既存資産を活用し、低コストでソリューションを実現し、フロー系には手組みなどにより、業務との整合性の高いソリューションを実現しようとするものです。
 この考え方は、次期基幹システムにも当然反映されています。このシステムは、実は基本システムと拡張システムに分かれていて、基本システムはメインフレームのマイグレーションを基礎とする手組みのフロー系システムであり、拡張システムは、基本システムが蓄えたデータを有効活用するために、SQL ServerのReporting ServiceやExcelを活用するストック系のシステムとなります。
 このような「ストック&フローアプローチ」をとるのは、ソリューションの実現コストを抑えつつ、業務の独自性を尊重し、一定レベルの柔軟性をソリューションに与えるためです。
 「業務の独自性を尊重」という考えに対しては、「それは可能な限り排除すべき」とする考えとのトレードオフを吟味する必要がありますが、ここで特に注意しなければならないことは、いわゆるベストプラクティスが必ずしもベストプラクティスではないということです。一見、他人から見てムダに思えることでも、実は長い歴史の中で磨かれ、多様性を吸収するなど、その当人たちにとっては有効なプロセスであったりすることがあるからです。

 ストック系の業務では既存資産を活用していくわけですが、昨今のITの潮流を考えると、クラウドというものも当然含まれてきます。そしてそれは、少なくとも我が社の主流となる資源に今後なるだろうと考え始めています。
 このような大きな期待は業界全体に拡がりをみせていますが、一方で、すべてがクラウドになるわけではない、との意見があります。私もそのように考えます。ひとつは、ストック&フローアプローチの考え方があるでしょうし、もうひとつはITガバナンスの問題です。
 私は先日、salesforce.comのデモを見せてもらいましたが、その感想として、ストック系の業務はかなりの確率でこのサービスにフィットするのでは? という仮説を持っています。もしそうであるならば、我が社のITに対する投資効果は劇的に変化するはずです。大変興味深い話であり、ITの実務責任者として早急に検証しなければならない仮説です。
 我が社の従業員数は120名程ですので、仮に全員が1人あたり月15,000円のサービスを利用したとしても年2,160万円です。このコストでストック系業務の大部分となるITコストをまかなえるとしたら、初期コストが別にかかるとしても驚異的なROIを実現できます。なるほど、クラウドが注目されるわけです。
 一方で、ITガバナンスの面においては懸念される要素があります。例えば、クラウド事業者の有するデータセンターは、セキュリティの関係上、所在地などが明かされていないことがほとんどです。場合によっては、事前の見学などもできないかも知れません。となると、口頭や文面で説明を受けただけのデータセンターに情報という重要資産を預けることになるわけで、まるでデータセンターが仮想化されてしまったかのような話です。もちろん、契約によりこのような懸念は整理されるのですが、ITガバナンスの実行力が低下することは間違いない事実です。

 クラウドにはこのような懸念事項もありますが、現段階の考えとして、ある程度のリスク等を容認してでも、余りある投資効果を得られるのではないかと思っています。さて、実際のところはどうなのか? 数週間の内に方向性を検証しなくてはなりません…
 今週末も仕事かなぁ…

2009年10月8日木曜日

顧客起点

 例えば、こんな場面を想像してみましょう。
 あなたは(男性だとして)、彼女と食事に行くプランを立てています。その時、あなたはどんなことを考えるでしょう? 彼女の好きな食べ物は何かなぁ? どんな雰囲気の店が良いかなぁ? と、彼女の立場になってプランを立てることと思います。
 次は、あまり好きではない会社の人々との飲み会の幹事を任された場面を想像してみましょう。「めんどくさいな」、「適当な居酒屋を予約しよう」などと考えるのではないでしょうか?
 このふたつのシチュエーションの決定的な違いは、相手の立場に立つか、自分の立場に立つかです。
 近年、多くの企業が「顧客起点」を謳っていますが、実践できている企業はそれほど多くないように思います。相手の立場に立つとは、食事のプランを立てるあなたのように、ひと言でいえば愛を持って接しているか? ということです。そして、その結果彼女が喜んでくれたならば、あなた自身も幸せであるはずです。
 一方、彼女の方にも愛される要素がなくて愛は成立しません。「顧客起点」が掛け声だけに終わってしまうのには、顧客側にも問題があるのかも知れません。
 では、このような場面はどうでしょう?
 あなたの前に、あなたにとって最高と思える女性が現れました。きっと、あなたは彼女に気に入られようと一生懸命自身をアピールするのではないでしょうか? このようなアクションを男女のどちらかが起こさなければ、なかなか愛は成立しないと思います。
 顧客起点、顧客満足度、というと何をどうして良いのか迷うかも知れませんが、こんな風に物事を捉えれば、唯一絶対の答えはないにしても、どうしていけばより良い方向になりうるかを判断し行動できると思います。

 再び繰り返しますが、「イマジネーションによってインテグレートされた全知全能」とはこういうことです。
 そして、「すべてはひとつに通じ、ひとつはすべてに通じている」と私は思います。

世界の中心で、愛をさけぶ

*今から3年前に、ある方たちに宛てて送った文章を掲載してみました。

 『世界の中心で、愛をさけぶ』という作品、これまで原作である小説から、映画、ドラマ、コミック、ラジオドラマと5つの作品が発表されています。このうちどれか、ご覧になりましたか? 私は、ドラマと小説を見ました。さて、この作品のタイトルである「世界の中心」とは何でしょうね?


 この作品のドラマ版には、次のようなシーンがあります。このシーンは、私が一番好きなシーンです。

 朔太郎という少年が、祖父を失い、失意にうなだれているところに、亜紀という少女が近づいてきて、両手を広げます。
 すると、その姿を見た朔太郎は、「世界で一番美しいものを見た」と思うのです。
 そして、亜紀に抱きしめられた時、その鼓動を聞いて「世界で一番優しい音を聞いた」と感じ、
 「世界っていうのは、抱きしめてくれる人のことで…」と続くのです。
 これが「世界の中心」です。朔太郎という少年の生きている世界、その中心は、亜紀という少女の存在なのです。

 私は何が言いたいのか? つまり、これが人間の持つイマジネーションです。何物にも代え難い存在を、「世界の中心」と表現することは、人間の持つ素晴らしさです。

 みなさん方は、ザッと20年から40年の間、それぞれの「世界」を生きてこられた方々です。その「世界」の中で、様々な経験をし、その中心は常に自分自身であったはずです。みなさん方の「世界」を、たったひとつの自分という視点で見てきているのですから、その意味において、仕事とか、遊びとか、明確に切り分けられるものではなく、それらのすべては自分というひとつに束ねられていくのです。そうであるのなら、すべてはひとつにつながるはずです…

 組織のマネジメント、顧客へのアプローチ等々、ビジネスにおいて求められるさまざまな局面、そこで本当に必要なものは、本屋に並んだノウハウ本の中にあるのでしょうか? もちろん、学問は大切です。しかし、それ以前に、みなさん方がこれまで「世界」で経験してきたことの中に、数々のヒントが散りばめられているはずです。

 遊びの中で見つけた何かを、仕事に結びつけていく。あるいはその逆…

 イマジネーションによってインテグレートされた全知全能とは、そういうことです。

雲の力

 昨日のことですが、salesforce.comの営業に来社頂き、SFAアプリケーションの説明を受けました。このアプリケーションは、いわゆるクラウドコンピューティングのサービスなのですが、感想を一言でいうならば、クラウドによるビジネスモデルの成功事例を見た!という感じです。
 これまで何度か語ってきたように、私は業務をストック系とフロー系に別けて考えますが、ストック系の業務であれば、SFAに限らずかなりの業務分野でこのサービスはフィットするのではないかと思います。
 圧倒的に素晴らしいのは、世界中のユーザーの声から組み込まれた機能であり、それは私1人がひねり出すアイデアを遥かに凌駕しています。
 これがクラウドのパワーですね。

2009年10月7日水曜日

次期ITインフラストラクチャー

 我が社のITインフラとなっているシンクライアントシステムのサーバー群は、来年から段階的に更新時期を迎えます。これはメーカー保守の期間が切れるということを契機としているので、保守延長により数年は更新を先送りすることができます。更新するか、保守延長で先送りにするか、これを意思決定するためにも更新後の姿を描く必要があります。今回は、現時点で私が描く次期ITインフラのイメージを紹介します。

 シンクライアントシステムの中枢となるサーバーは、Citrix Presentation Serverをインストールした3台のPRIMERGY RX200です。1機4GBのメモリを搭載し、約100人のユーザーを3台で負荷分散しながらさばいていますので、1機あたり33人程のユーザーで共有していることになります。これは、ヘビーユーザー(Wordにサイズの大きい画像を貼るなど)が出現すると、パフォーマンスの低下を体感できてしまう共有度合いであり、パフォーマンスとしては物足りない状況にあります。
 ここでまず考えられるのはスケールアウト。サーバーを1機増設し、4機で負荷分散すれば1機あたり25人、過去の経験則からいってパフォーマンスは十分なレベルとなるはずです。しかし、サーバーが更新時期を迎えようとしている今、このような選択はあまり面白くありません。

 次はサーバー仮想化を考えてみます。例えば、16コア、メモリ32GBのサーバーを2機用意し(その他の諸条件は取り敢えず無視して)、そこに4コア、8GBのVMを3機づつ配置するというのはどうでしょう? 計6機のCitrix Presentation Serverで100人のユーザーをさばくことになるわけですから、1機あたり17人弱、メモリは現行サーバーの2倍ですから、余裕を持ってユーザーをさばけると思われます。また、コスト的にもリアルサーバー構成より有利なはずです。もちろん、ここで取り上げたCPUとメモリ以外の諸条件によりパフォーマンスとコストは異なりますので、この例はあくまでも検討の対象とする1シナリオということになります。

 さて、スケールアウトとサーバー仮想化、どちらが魅力的でしょうか? 私はサーバー仮想化をベースに次期ITインフラを描いていきたいと考えています。そしてそれは、地球温暖化対策というテーマとも整合するものです。

 仮想化のシナリオの中で、諸条件によりパフォーマンスは異なると書きましたが、恐らく最も大きなボトルネックとなるのは、ファイルIOであるとこれまでの仮想化実験の経験から考えています。となると、高速かつ負荷分散されたファイルIOを実現する必要がありますので、SANやNAS、iSCSIといった仕組みを検討する必要が出てきます。そして、このようなストレージを組み入れることは、例えばVMWareのVMotion等により、可用性を高めることなどに通じます。

 ここまで考えると、Citrix Presentation Serverを使い続けることに疑問を感じてきます。いずれはサポートが切れてしまう旧世代ソフトを使い続けるよりは、新機能を備えた後継ソフトへ乗り換えたくなるのです。そこでXenAppやXenDesktopはどうでしょう? 基礎はアプリケーション仮想化で築き、アプリケーション仮想化に馴染まないものはデスクトップ仮想化で対応する。これはかなりの柔軟性を持ったインフラを築けます。現在も、特定のソフトはWindows XPのVMなどによって運用しています。なにしろ、エンタープライズ コンピューティングとは、基幹のシステムから付箋紙ソフトまで、さまざまなソフトを必要とします。業務の変化に柔軟に対応するインフラを構築するために、デスクトップとアプリケーションの仮想化技術はなくてはならないものと私は考えます。

 昨今、BCPの重要性が指摘される中で、私は昨年から本格的にBCPに取り組んでいます。また、ワークライフ バランスというような考え方も徐々に拡がりを見せています。このような状況の中で、テレワークに対応できるインフラというのも考えたくなります。自宅のPCやモバイル、携帯端末などから会社とほぼ同じコンピューティング環境が使えたならば、BCPとワークライフバランスの一部に対応できるものとなります。

 来年以降誕生するかも知れない次期ITインフラ、私はこのようなイメージで検討を進めています。

2009年10月6日火曜日

iPhone用アームバンド

 iPhone用のアームバンドを買いました。これでランニングが一層楽しくなりそうです。

 先日のマラソン大会を経て、目標を設定しました。5Kmを25分で走破する、まずはこれを目指したいと思います。1Km5分ペース、時速に換算して12Kmちょっと。努力次第で十分達成可能なものです。
 この目標を達成するために、ITに携わる私としては、やはりITを活用したトレーニングによって目標に近づきたいと思います。iPhoneにはGPS機能を使ったアプリケーションが無料で公開されていますので、これにより走行距離、走行時間、平均時速などのデータを採取することができます。

 また、5Kmの練習コースも新たに設定しました。私はMapionのキョリ測を利用してコースを選定しています。この新コースは大会のコースより起伏が大きいですから、ここで25分台相当のタイムが出せれば、大会でも目標を達成できると思っています。まだ一度も走ったことのないコースですので、走るのが楽しみです。

2009年10月5日月曜日

VMWare

 今日は、VMWareに関する説明を受けました。今のところは、エンタープライズ レベルのサーバー仮想化プラットフォームとしては、VMWareに多くの有意性があることを改めて認識しました。
 しかし疑問なのは、技術を比較する時のスタンスです。例えば、今日の説明はVMWareとHyper-Vの比較だったのですが、Hyper-Vの機能的劣勢を必要以上にアピールしているような印象を受けました。.NET対JAVA、SQL Server対Oracleなどなど、相手の粗探し的比較論をこれまで幾度も耳にしたことがあります。それぞれの製品に差異があるのは当然のことで、それが良いとか悪とかではなく、求めるソリューションとしてどの組合せが適切なのか? というようなクールな比較を心掛けて欲しいものです。

 私の主観的要素を含めて話をすれば、.NETを始めとするMicrosoftの技術は、他陣営から批判されることが多かったように感じています。しかし、他陣営がそうしている間に、Microsoftは着々と自身の強みを強化することに励み、SQL Server + ExcelによるBIというような、エンドユーザーの使いやすさや投資効果に優れたソリューションを世に出しています。このようなソリューションは、ストック系の業務は既存資産を有効活用しようとする私にとっては大変魅力的なものです。他の批判の前に、自らの製品やサービスを研ぎ澄まし、その魅力をクールにアピールする。ITに関与する技術者や営業担当者には、そんな活動により多くの資源を投入して頂きたいと考えます。

次期基幹システム(3)-運用テスト開始

 今日から次期基幹システムの運用テストが開始されます。システムの品質をユーザー自身の手によって最終的に検証するためのテストですので、ユーザーの主体的な取り組みが極めて重要なのですが、当のユーザーにとってはそれほど関心の高いことではない、というのが実際のところでしょうか… しかし、私としては有益なテストを実施しなくてはなりませんので、今回は運用テストの「見える化」によってユーザーのやる気を刺激したいと考えました。
 このシステムはWebアプリケーションですので、IISにアクセスログが残ります。誰がどのページにアクセスしたかが、ADのWindows統合認証によってログに記録されるというわけです。また、簡易的なBPM機能を有しているので、どのプロセスを誰がどの位処理したかがログに残ります。このふたつのログをユーザーとその所属長に公開することによって、各自の運用テストに対する取り組み具合を見える化しようという趣旨です。
 さて、運用テストはうまくいくのでしょうか? 今日から11月13日まで、ユーザーとの静かな闘いが始まります。

2009年10月4日日曜日

マラソン大会終了

 5Km走ってきました。結果から先にいいますと、200人位参加した中で70位、タイムは手元の時計で28分26秒でした。35分位を目標としていたので、30分を切れたことは自分としては上出来です。
 会場に向かう途中は右膝に痛みを感じていたので、途中で走れなくなるような事態を心配していたのですが、本番ではそれほど痛みを感じず走り切ることができました。

 しかし、レースは難しいですね。人を避けるという普段はない要素が加わってきます。そして、抜かれると、つい負けず嫌い症が出て抜き返したくなってしまいます。要は、マイペースを維持することが難しいです(難しというか、精神力の問題かもしれませんが…)。しかも、途中で散歩中の犬が足にぶつかってきて、危うくこけるところでした。また、初めてのコースというのは勝手がわからないので、全体の組み立てというか、場面毎のペースというか、そういうものがわからないので走りづらかったです。
 いずれにしても、自分なりによくやったと思える結果だったので今回は満足ですが、走り終わった後脚がカクカクだったので、もっと走力をつけないとダメだな、と感じました。

 大会終了後は温泉で汗を流し、生ビールを飲みながらマラソン談義。今日のビールはまた格別でした。結局のところ、この一杯のために走っているのかもしれません…

マラソン大会当日

 いよいよマラソン大会の当日です。
 昨日は夕方には仕事から自宅に戻り、山中コースと名付けている約6Kmのコースを走りました。しかし、右膝に違和感を感じたので、20分ほど走ったところからウォーキングに切り替えました。
 大会前日ですので気分的にはもう少し走り込みたかったのですが、無理をしてもしょうがないので、今日の大会も膝の調子と相談しながら走ることになりそうです。
 ちなみに、走り始めは筋肉痛、それがなくなると左足首、左膝、右足首、そして昨日の右膝と順番に痛みや違和感を感じるところが移っています。しかし、一度治れば今のところ再び痛くなることはないので、この右膝が良くなると走るための基礎となる脚が出来上がるような気がします。
 では、大会に出発!

2009年10月3日土曜日

明日はマラソン大会

 明日はいよいよマラソン大会ですが、平日は仕事が忙しく、結局練習することができませんでした。今日も日中は仕事になりますが、今日こそは夕方調整程度に軽く走って大会に臨みたいと思います。まあ、5Kmですので、普段も走っている距離ですから、タイムや順位はともかくとして、楽しく走れるとは思いますが…
 後は天気が心配ですね。今のところ雨にはならないようですが、近年の天気予報はあまりあてにならないですから。
 そろそろ、走っても体が温まるまで時間のかかる気温となってきました。冬用のウェアを買わないといけませんね。それと、iPhoneのアームバンドが欲しいです。iPhoneにはGPS機能が付いているので、それを使って距離やスピードを記録することができるのです。音楽も聴けますし、そうなると走るのもますます楽しくなると思います。

2009年10月1日木曜日

ちょっと早い10大ニュース

 今年も後3ヵ月。ちょっと早いですが現時点の10大ニュースを考えてみました。

       1.  システム開発上流工程の新たなフレームワークを構築
       2.  次期基幹システムの開発遅延
       3.  新システムの開発着手
       4.  Green IT Infrastructure 1.0構想着手
       5.  64BitVMサーバー導入
       6.  シンクライアント システムの障害解決
       7.  新規事業企画を社に提案するも不作に終わる
       8.  プロポーザル方式の制度設計
       9.  事業継続計画の拡張作業着手
      10. ITガバナンスの見直し作業着手

 1、物事の始まりを定める部分ですので極めて重要であると私は考えます。そこに一定の方法論を持つことは、継続的に業務を遂行するために必須のことであり、その方法論を強化できたのですから、これは大きな成果といっていいでしょう。ちなみに、プロとアマチュアの違いは、継続的に優れたパフォーマンスを提供できるか否かです。これ以外に両者の差はありません、と私は断言します。

 2、基幹システムの開発遅延は、非常に大きな痛みを伴いました。しかし、この失敗から1のフレームワークが構築されたのですから、今となっては失敗は成功のもと… と捉えています。

 3、1のフレームワークを早速実践投入してのシステム開発に着手しました。今まで何度も行ってきたシステム開発ですが、方法論の変化により、自分自身がとても楽しく仕事をしています。

 4、これは簡単にいうとシステム基盤の再構築という案件なのですが、地球温暖化対策ということを意識してこのようなプロジェクトの呼称を与えました。どんなシステムを構築しようかと色々考えている時が、私にとっては至福の時です。

 5、Hyper-Vを動かすためにホストとなるDELL製サーバーを2台買いました。Hyper-VやSCVMM、面白いですよ!

 6、1年近く目の上のたんこぶだった印刷時の問題をやっと解決することができました。リコーの技術スタッフに感謝です。

 7、システムではなく事業の企画を社に提案したのですが…

 8、システムの提案を複数社から受け選考するための枠組みを設計しました。社にとって有益な機能となることを期待しています。

 9、昨年、大規模震災に限定したBCPを策定したのですが、今日の状況を受け、パンデミックへの対応を加えているところです。すべて計画のみで実施はされていないのですが、一歩一歩確実に前進させていきたいと思います。

 10、2年前にITガバナンスの仕組みを構築し、運用を開始したのですが、うまく機能していないのでが実情です。そこで見直し作業を行っているのですが、意外と面白い分野です。昨日、ある有名コンサルティング企業のコンサルタントとお会いしたのですが、ほんの30分程度で有益な情報を得ることができました。知恵のある人と話をするのは勉強になりますし、何より楽しいことです。